【天皇賞関西有力馬達の直前情報】  | 高崎武大のこんな騎手情報局

【天皇賞関西有力馬達の直前情報】 

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 金曜午前8時30分。栗東坂路の角馬場に現れたリンカーンを見守る音無師が満面に笑みを浮かべてこうつぶやいた。「今回は本当にいいわ!全然違うぞ」。精神的な余裕を漂わせながら、全身を使った柔らかい歩様で、それでいてイレコミどころか落ち着きはらっている。29日の長距離輸送を考慮して、10キロ程ふっくらさせているそうだ。「私もリンカーンを見続けてきたが、本当に同じ馬なのって!?ぐらい変わってきたよ。必要としていた物が全て備わったって感じ」と声が弾む音無師。そして坂路で極軽めに4F72秒1ー1F15秒3。ゆっくりと、馬の行く気に任せて、木曜日に打ち替えた蹄鉄をなじませるための登坂だったが、フットワークは迫力満点だった。「昨年の天皇賞とは、ローテーションも状態も全然違うから」。金曜調教を見届けると同師はこう語った。「状態は今までで一番良かったと思う菊花賞の時に近いね」と音無師の眼鏡が光る。担当の蛭田助手も「獣医から内臓面も心配ないって昨日太鼓判押された。今回は長距離輸送でもたぶん大丈夫。豊さんは、以前から“左回りの方が良さそうだね”って僕には言っていたんですよ!」。最高潮で迎える左回りの天覧決戦。9回目の挑戦で念願のG1タイトルを手にする時がきたのかもしれない。

 スイープトウショウは調教スタンド脇の丸馬場で調整した。「コースへ出すと言うことを聞かんもん?気分を損ねても困るからね。ここで体をほぐすしかないって・・・」と鶴留師。「先週まで稍細めだったけど、今週は宝塚記念ぐらいの体に戻っていた。輸送で減らなきゃいいんだけど?」とは池添騎手

天皇賞・春の覇者スズカマンボは坂路で4F62秒6ー1F16秒0をマーク。「かなりカッカしているわ。当日にイレ込まないか心配だね」と橋田師は心配顔だった。対照的にアドマイヤグルーヴは角馬場で落ち着きはらっていた。「若い頃ほどテンションが上がらなくなったし、思い通りの体つきだよ。面白いよ今回!」と手応えあり。金曜朝の気配では2頭クッキリ明暗が分かれた。

サンライズペガサスは坂路で4F66秒0ー1F15秒8の最終調整。日迫助手は「この時計なら良かったんちゃう。馬体重は前走486キロと同じか気持ちプラスくらいでいけそうやわ。輸送があるので重くなるとは思わない」と仕上がりに自信。枠については、「有力馬がみんないい枠を引いているだけに、外枠は本当不利やね・・・運ないわ」と表情を曇らせた。

 そして金曜朝、誰よりも強気だったのがルメール騎手だ。スタンド1階で休憩をしている所、彼の好きな銘柄の缶コーヒー(無糖でミルク入り)を差し入れして、直接本音に迫ってみたのだ。ルメール騎手は「本国にいる時に、オーナーからエンペラーズCで勝てる馬(一番チャンスのある馬)に乗せてあげるって言われてたんだ。僕は日本で早くG1レースを勝ちたいと強く思っていたので、こんなにいい話はエージェントにも相談しないで、自ら即決したぐらいなんだよ。今回乗るハーツクライという馬は、イメージ通りグッドフィニッシャー(キレ味鋭い)だし、何より休養明けで馬が最高にフレッシュなのがいいね。基本的に日本の馬は使い過ぎと調教のヤリ過ぎからなのか、全体的に疲れている馬が多いんだけど・・・これはナイショね。とにかく昨日の調教で凄いアクションをしてくれたから、今回は最大のチャンスだと断言しておくよ!」と超強気のルメール騎手でしたが、最後にライバルは?と問うと「もちろんゼンノロブロイだと思うけど、今回はサンライズペガサスも怖いね。あとはユタカさんに注意して~(笑)」


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